2013-02-22

かご小話: かごが生まれる場所 ... 宮崎県 日之影町

先日の九州旅行では、若手竹職人の小川鉄平さんに
お会いするため、宮崎県の日之影町にも足をはこんできました。

そこは、自然に恵まれた山あいの小さな集落です。

この地に移り住み、伝統的な竹細工を継承しようとしている
小川さんのお話をぜひ聞いてみたいと思ったのでした。


真竹をつかった竹細工が盛んだったこの地域では、
「かるい」とよばれる背負いかごや、川魚を捕える「てご」、「うなぎぽっぽ」といった、
ここでの暮らしに根ざした、さまざまな道具が作られてきました。

名手のおひとりに、現在は90歳をこえ現役を引退されている
廣島一夫さんという方がおられます。

その作品は、1990年代初頭、アメリカの学芸員の来訪をきっかけに、
海外で高い評価を得、スミソニアン協会の美術館をはじめ、
米英各地で巡回展が開かれるほどでした。


日之影を代表する竹細工
「かるい」
 

小川さんは、この町のもう一人の名人、飯干五男さんに弟子入りしたのち、
日之影町の伝統を受けつぐ職人として、精力的にかご作りをつづけておられます。

たくさんの竹かごを生み出してきた、
飯干五男さんの手

訪問した日、町の高台からは、棚田やお茶畑、たわわに実るみかんの
木々が見渡せ、のどかな冬の午後の美しい景色に遭遇しました。

小川さんのお話を伺ううち、この里山の風景は、自然と人との交わりが
あったからこそ生まれた、、、というその意味が、分かってきたような気がしました。

長い年月をかけて急峻な山間部を切り開き、手塩にかけて暮らしを
作り上げてきた、土地の人びとの苦労。そして工夫。

日之影のすばらしい竹細工も、その賜物にちがいありません。


今日は少し冷えますね、といいながらストーブに薪をくべてくれた
小川さん。未来を見据えるまっすぐなまなざしが印象的でした。