2016-09-15

シナの里をたずねて

先日は、山形と新潟の県境にある、関川に行ってきました。

日頃、取り扱いをしている、独特の編み目模様がかわいらしい
「シナの皮」を使ったかごを詳しく知るため、一年ぶりに現地を訪れて
きたのでした。


シナの原木

日本各地にひろく自生するシナの木。
その繊維は、ロープの原料にもなるほどの強靭さがあり、縄文時代にはすでに、
網や袋、衣類などに利用されるなど、日本人の生活に深く根ざす素材として
活かされてきました。

集落の前を流れている清流。
適度な流れがあるきれいな川の水は、
シナの素材づくりに欠かせない条件の一つです。

梅雨の頃に伐採し、幹からはがした樹皮は、まず干してしっかり乾燥させた
のち、灰汁で煮たり、糠に漬けたり、川の水にさらしたりといった
手間のかかる工程をいくども経て、ようやく繊維が姿をあらわします。
ここまでで約半年!


さらにこれを裂いて、束にして撚りをかけ、ひも状にしたものがかご編みの
材料となります。作り手のかたは、現在70代後半。
山間部の豪雪地帯に生まれ育ち、暮らしに不可欠な道具たちはすべて、
ちいさな頃から見よう見まねで作ってきたといいます。

私たちがこのカゴに興味をひかれたのは、実はこの模様が地域に
伝わる伝統的なデザインでは「ない」というところでした。

上部の編みはじめは編み目を詰めて、
下にいくほど徐々に広げるのも独自のアイデア。
一段一段、大きさを確認しながら製作していきます。

アイデアが生まれたのは十年ほど前で、実は近所の食堂で見かけたあるものが
ヒントになったそう。。。それは、縄暖簾に編み込まれていた模様でした。
「娘と店を訪れるたびに、詳しく観察していたんですよ。」と誕生の秘密を
笑いながら語ってくれたのでした。


地域に伝わってきたシナの紐づくりの知恵と手業に、ちょっとユニークな
発想が合わさって生み出された、シナの手提げかご。
伝統的なかごづくりを続けつつも、作り手さんそれぞれの感覚や
日々の発見のなかで、新しいかごもどんどん作ってほしいですね!

次回はぜひ、作り手さんとともにこの食堂を訪問したいなあと思っています。